— (B)革新的生産・製造技術の研究開発 —

高付加価値設計・製造を実現する
レーザーコーティング技術の研究開発

Development of laser coating methods for realization of high value-added design and manufacturing デライト設計実現に大きく貢献する高品質・高安定のコーティング技術の確立に挑戦
研究実施機関(再委託先、共同実施先含む)
日本原子力研究開発機構、大阪大学、大阪富士工業(株)、(株)村谷機械製作所、石川県工業試験場、古河電気工業(株)、山陽特殊製鋼(株)

背景

従来技術であるPTA(プラズマ粉体肉盛溶接)は、入熱制御が十分でないため高品質のコーティングが困難でした。また、従来の粉末供給型レーザークラッディング(コーティング)装置の粉末供給装置は、粉末供給位置制御が十分でないため高品質のコーティングが困難でした。
それに対して本テーマで研究に取り組んでいるレーザーコーティングは、従来困難であった材料・構造体に対し、高機能・難加工材料のコーティングを実現することができます(図1)
このコーティング技術が実用化すれば、「軽い」「薄い(安い)」にもかかわらず「強い」といったユーザーニーズに応える「デライト設計」ベースのものづくりに大きく貢献できることから、ものづくり概念を根底から覆す可能性があります。また、その応用範囲や波及効果は、自動車など国民生活に身近なものから、災害用ロボット(図2)、さらには、宇宙開発などの大型プロジェクトの設計・製造に至るまで広がります。
本技術を公設試等を通じて各地域の中小企業に広めることで、各地域で革新的な設計・製造を行うことが可能になります。

(図1)青色半導体レーザー照射により形成された純銅のコーティング膜
(図1)青色半導体レーザー照射により形成された純銅のコーティング膜
(図2)デライト設計を実現するためのレーザーコーティング技術
(図2)デライト設計を実現するためのレーザーコーティング技術

目標

  1. レーザー入熱制御技術の開発

    溶融凝固シミュレーションコード開発。
    高時空間分解溶融凝固現象計測技術開発。
    レーザー照射中の現象を評価・解明し、レーザー照射条件の最適化

  2. モルテンプール型レーザーコーティング技術の開発

    厚さ1㎜以上のコーティングにおいて低希釈膜形成技術の確立および高品質化・高安定化に向けた技術開発。

  3. 非モルテンプール型レーザーコーティング技術の開発(図3)

    側方からレーザーを照射し、中央から面直に原料粉末を噴射供給可能なマルチビームユニットを設計・製作し、最大6本のレーザービームの同時照射(マルチビーム重畳照射)を可能にすること。
    単純形状の製品・部品へのコーティング試作 ⇒ 高機能切削工具等の開発。

    (図3)面直粉末噴射型レーザーコーディング試作機
    (図3)面直粉末噴射型レーザーコーディング試作機
  4. イノベーションスタイル

    展示会用動画作成(東京工科大学メディア学部とのコラボレーション)。

  5. 青色半導体レーザーコーティング装置を開発。
  6. 近赤外線半導体レーザーコーティング装置を工作機械に搭載。

実施内容

  1. レーザー入熱制御技術の開発

    現象評価と解明、レーザー照射条件の最適化を実施します。
    SPring-8での材料特性評価を実施します。
    平成29年度より、コーティングプロセスのシミュレーション、溶融・界面・母材の相互作用現象の解明、産業応用に即した実証を行います。

  2. モルテンプール型レーザーコーティング技術の開発

    低希釈膜形成技術の確立に取り組みます。
    高品質化・高安定化に向けた技術開発に取り組みます。

  3. 非モルテンプール型レーザーコーティング技術の開発

    高精度な粉末溶融制御技術の確立に取り組みます。
    高品質な薄膜形成技術の確立に取り組みます。

  4. イノベーションスタイル

    技術動画の配信を行い、技術発信・普及活動を支援します。
    ユーザー連携の強化およびアドバタイズメントを行い、技術普及・事業化に向けた活動を支援します。

OPIE’16 SIPレーザーコーティング技術の実機デモ 塚本教授による解説あり

(株)村谷機械製作所 マルチビーム式直噴型レーザーコーティング装置

大阪富士工業(株) モルテンプール型レーザーコーティング